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糖尿病の危険因子

糖尿病を引き起こす因子

 糖尿病になる本当の原因は、まだわかっていません。しかし、ある要素があると、糖尿病になりやすい危険が高まるという一般的な因子があることはわかっています。それを、糖尿病の危険因子と呼びます。尤も知られている危険因子は、

 1 加齢

 2 家族歴(肉親や親戚に糖尿病の人がいること)や遺伝子

 3 肥満

 4 運動不足

 5 ストレス

 などです。

 

 加齢

 40歳を超えると、身体中の細胞の代謝活力が低下する時期に入ってきます。身体を動かす機会も減り、中年太りというように、おなかに脂肪がたまるなどして肥満になりやすくなります。体重が増えるわりには筋肉量は減っていることが多く、その増えた分は脂肪です。本来ブドウを処理してくれるはずの筋肉量が減ると、血液中にブドウ糖が蓄積しやすくなり、血糖値は高くなります。また、膵臓からインスリンを分泌する能力を落ちてきます。こうした機序により、加齢は糖尿病の発症を促進するわけです。

 推計では、日本では2015年には4人に1人が高齢者になるとされています。諸外国と比較しても、日本の高齢人口はイタリアやドイツよりも高いようです。ですから国際的にみても、日本の高齢化社会は急速に進むことになります。そうなると、糖尿病あるいは糖尿病の疑いのある人の数は、2015年までに、ますます増えていくことが推測されます。

 

 家族歴や遺伝子

 肉親や親戚に糖尿病の人がいる場合には、2型糖尿病になる確率が高くなります。特に、親や兄弟に糖尿病の人がいれば、確率はさらに高くなります。一卵性双生児や二卵性双生児でも高確率で、なりやすさが一致するといわれています。こうしたデータなども、糖尿病が遺伝子と深く関連していることの重要な証拠になるものです。

 ただし、近親者に誰も糖尿病の人がいないからといって安心してはいけません。「好ましくない生活習慣」が重なれば、遺伝子因子をもっていなくても、環境因子によって糖尿病になりやすくなるからです。

 糖尿病の遺伝子検査は、DNAの塩基配列の中で、一つの塩基が他人と違っている部分があるかどうかということ~研究が進み、それをSNP(single nucleotide polymorphism)研究といいます。この場合、そのSNPが糖尿病との関係において意味があるかどうかを比較するには、オッズ比(OR:odds ratio)という数値で比較します。オッズ比は、ある結果が起こる確率が、それが起こらない確率に対する比率を指していいます。

 これまで糖尿病で発見されたSNPは、1型糖尿病ではHLAと呼ばれる遺伝子部位の効果はオッズ比が30~60と、明らかな関係が見いだされています。

 しかし、2型糖尿病については、1~2という、きわめて低いオッズ比の遺伝子しか発見されていません。しかし、そうした遺伝子が複数みつかっていますので、効果の小さな遺伝子異常が、複数集まって、その相乗効果で発病するのではないか、というのが現在の考え方です。

 

 肥満

 糖尿病患者さんの多くは、多少なりとも肥満であったり、過去に肥満だった時期があります。こうした肥満をもつ人が、食事制限をし運動量を増やすことによって、肥満を取りのぞけば、確実に血糖値は下がります。

 肥満によりインスリンが効きにくくなって糖尿病の誘因となるのは周知の事実です。内蔵に志望が蓄積するタイプの肥満が特に悪いということですが、それだけではありません。肥満があると運動不足になり、過食傾向にも歯止めがかかりません。極端な肥満患者さんでは、「あきらめ」が先にでてダイエットをする意思さえ萎えてしまうことがあります。つまり、肥満には、脂肪から分泌されるホルモンなどだけではなく、生活習慣の改善ができない、行動の修正ができにくい、という原因がつきまとっている場合が多いのです。

 男性は中年太りといわれるように、35歳を超えたころから肥満が増えてきます。特に、たくさんインスリンを分泌し、肥満していて、そして血糖値は下がらない、というタイプの人では、糖尿病に移行する確率が高いので要注意です。なお、このようにインスリンが分泌されていても、血糖値が下がりにくい状態を、「インスリン抵抗性」がある状態と呼びます。2型糖尿病の原因の多くは、このインスリン抵抗性が背景にあると考えられています。

 逆に、糖尿病と診断された人では、肥満が減少することもあります。治療によって食事療法や運動療法などが介入するからという理由と、糖尿病が悪化するとやせてくるから、という理由が二つ考えられます。

 

 運動不足

 ブドウ糖の70~90%は筋肉細胞の中に取り込まれて消費されます。運動不足で、筋肉を使うことが少なくなれば、血液中のブドウ糖は筋肉内に取り込まれにくくなり、血糖値は高くなります。逆に、運動量を増やせば、血糖値の上昇を抑えることができます。

 また、運動を普段から行うことによって筋肉細胞の量が増え、消費するブドウ糖の量も増えてきます。ですから、運動を続けて筋肉質の体格にしておくことは、糖尿病になるリスクを減少させることになります。逆に、加齢とともに筋肉量が減り、あるいはほかの病気(例えば、足の骨折など)によって運動ができなくなると、血糖値は高くなりやすくなります。一方で、若いときに激しいスポーツをしていた人ほど(野球選手、ラグビー選手、力士など)、引退して中高年になり、若い時のように大食家のままの癖がぬけないでいる場合にも、注意が必要です。

 

 ストレス

 過剰なストレスがあると、たくさん食べて満腹感を得ることによってストレスを解消しようとする人も少なくありません。また、ストレスがあると行動意欲が低下してしまい、運動不足になり肥満を誘発することにもなります。

 多くのホルモンの中で、副腎で作られるアドレナリンは、特にストレスを受けた時に強く分泌されます。アドレナリンには、インスリンの分泌を抑制したり筋肉でのブドウ糖の取り込みを抑制したり、肝臓でのグリコーゲンの分解を促進したりと血糖値を上げる働きがあります。

 つまり、ストレスがある状態は、精神的にも、内分泌的にも、糖尿病を誘発させる可能性を高くするのです。

 

 

 

 

過去の出版書籍、一覧
これまで出版した糖尿病関係の書籍は79冊

 

新刊書籍の裏話;書籍表紙

糖尿病の先端医療、SGLT2阻害剤、の服薬方法、最新の話題を集約した、日本で最初の一般書。鈴木医師の、累計240名以上の、患者さんを処方した処方経験が、この本に集約されています。

SGLT2阻害剤、さらに、週1回製剤のGLP1受容体作動薬について、医学ライターが、鈴木吉彦医師の原著をもとに、わかりやすく、しかし、かつ科学的に、かなり高度な視点から、かきなおした名著。インテリジェンスの高い読者の方々に、お勧めします。

DPP4阻害剤から、GLP1受容体作動薬、そして、SGLT2阻害剤、と、最新の治療を、わかりやすく解説しています。主婦の友社ならでは、の、イラストや、漫画のおおさで、他の書籍とは、まったく違った味わいがあり、図表などで、先端医療を理解したいと考えている方々にとっては、お勧めの書籍です。

鈴木吉彦医師は、日本医科大学の客員教授です。そのため、後輩の医師たちのための、教科書を作成しました。この作品は、某医学大学の研修者たちの教科書として、広く、活用されています。

 日本人にもっとも多い生活習慣病の一つ糖尿病の治療スタイルが、劇的に変わろうとしている。インスリン頻回注射中心の療法は過去のものとなり、まったく新しい治療薬が次々と登場。糖尿病臨床医師の第一人者が、最先端の新薬開発の現状を報告するとともに、患者の負担を軽くしながら治療効果を上げ、限りなく通常の生活者へと復帰させるための手立てを紹介する。

 糖尿病の検査値を劇的に改善し、合併症から救う「クレアチン」新薬。専門医が驚きの臨床データをもとに、わかりやすく解説する。

 知っておきたいこの病気のしくみや、心がけたい生活習慣を、わかりやすく解説。

 血糖値が体に及ぼす影響をはじめ、糖尿病にならないための生活改善ポイントを紹介。おいしく低カロリーな食事レシピも多数掲載

 


(左:朝日新書2010年4月発売)

 この本のタイトルをどうしようかと考えている時、決まりました!というメールが朝日新聞社から届きました。見てみたら、なんと「糖尿病は治る」でした。正直、筆者の私がびっくりでした。

 こんなタイトルにしたら、本当に糖尿病が完治すると思う患者さんが当クリニックに殺到してしまいパニックになるだろう、そうでなくても外来は本当に混んでいるのに、、と思って、変更をお願いしたのですが、時、既に遅しでした。

 それで、このタイトルの本当の主旨を「あとがき」に、しっかりとまとめました。この本は、朝日新聞社が優秀な医療専門ライターをつけてくれて、様々なプロフェッショナルの方々にも支援していただいて、丁寧に書き起こしてくれた名著だと思います。特にGLP1やDPP4阻害剤については、きわめて簡潔に要点をまとめていますので、私の外来では、GLP1誘導体を始める患者さんたちには、まず、必ずお勧めしようと思っている本です。

 ただし、治るとおもって暴飲暴食はしないように、もし、この本を読まれる方は、最後の「あとがき」の部分まで、しっかりとお読みください。

 現代の医療では、糖尿病が治るというレベルまでには到達していない。EBM(証拠に基づいた医療)や学会などできめたガイドラインなどに従って治療をすべきだという意見もあります。それはギリシャの哲学者:プラトーの考え方に似ています。
  それに対して、プラトーの弟子のアリストテレスは、個々の最善の目標は個々に設定すべきであり、ガイドラインで規定できるべきものではないと考えをまとめています。当院での医療方針は、アリストテレスの方針と似ています。目標とするHbA1cは5.8%以下です。

 

 


(保健同人社)(2010年1月発売)

「本当に糖尿病は不治の病なのだろうか」という疑問を表現するために、ギリシャの哲学家:ソクラテスのポーズを表紙にしました。また、糖尿病医療が新時代、新世代を迎えることを象徴するためにモデルは小学校3年生にしました。New Generationという意味をこめてみました。また、Surprise Medicationというのは筆者の造語です。驚くような処方という意味ですが、詳しくは外来でご説明いたします。

「本当に糖尿病は不治の病なのだろうか」という疑問を、今度は、本のタイトルに、そのまま表現しました。出版社からの依頼です。実際には、HDCアトラスクリニックでは、HbA1cが6%以下の患者さん達が増えています。HbA1cが5%台になり、例えば、5.5%以下になれば、糖尿病の合併症の進行が、極端に減少するはずです。当院では、HbA1c5%台は普通と言える外来を目指しています。その根拠となるのが、本書です。

 他にも、筆者のこれまで論文などで発表してきた新知見などが、沢山、盛り込んでいます。

 


 教育入院はしてみたいのだけれども、時間がないから入院できない、どうしよう、とお悩みの方には、この2冊の書籍をお薦めいたします。糖尿病の食事をつくる本は、院長が東京都済生会中央病院で教育入院担当で、教鞭をふるっていた時をイメージして、書籍の上で、同じような効果が得られないだろうかと考えながら作成した実験的な本です。教育入院さながらの医師や栄養士と、患者さんとの会話がでてきます。

 

 

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脳梗塞原因遺伝子発見(特許取得)

ADH2遺伝子:世界初
(Neurologyに掲載)

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ミトコンドリア遺伝子代表論文

核遺伝子との相関を発見
(世界初;Diabetes Care)

 

3264変異遺伝子を発見
(Diabetes Care)

 

 

指尖外SMBGを世界で最初に提案

 

Suzuki Y. Painless blood sampling for self blood glucose measurement: Lancet 339巻: 816-817頁, 1992年

 

他、Diabetes Care 1998

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