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薬:解説。メトホルミン

商品名、メトホルミン。 代表的な、メトホルミン系薬剤。
metoformin

 メトホルミンは古くからある薬ですが、2010年より高用量内服が認可されたばかりです。DPP-4阻害剤との相性がよく、血液中のGLP-1濃度を高める作用があります。海外では安さの点から高い評価がありますが、日本ではDPP-4阻害剤の後に処方される薬です。
 1日3回内服が原則ですが、昼は忘れる事が多く、2回だけの人も少なくはないのですが,それでも有効性は高いことは証明済みです。
 欠点は錠剤の大きさです。錠剤の数を増やし、なんとか1日9錠まで服用できれば服用してください。9錠では副作用があって無理、という場合には6錠や3錠でも効果があります。ただし体質的に合わないと思ったら直ぐに中止してください。また 造影剤を使う前後には中止することは忘れないようにしてください。

 

※ 作用機序は?

 

メトホルミンとは、血糖値を下げる薬です。
メトホルミンの作用は
1.体中の細胞の中でブドウ糖をエネルギーとして使うことを促す
2.食欲を低下させる
3.小腸からのブドウ糖などの栄養素の吸収を妨げる
4.肝臓から血液中にブドウ糖が出て行くのを妨げて、血糖値の上昇を抑える
5. GLP-1の濃度を高める。
です。
 メトホルミンは1日で、2250mg(9錠)までの増量が可能です(1錠は250mgです)。メトホルミンだけの単剤内服では、6錠(1500mg/日)ではHbA1cにして1.2%の低下、9錠(2250mg/日)では1.8%の低下を認めたという臨床試験の成績があります。

 本来のメトホルミンの効果は、6錠くらいから、ぐーっと効いてくるとされています。しかし、メトホルミンを増量すると、下痢や悪心を伴うことが多く、一般的には、3錠か、6錠から、開始し、様子をみながら、9錠に増やしていくのが普通です。

内服する上での注意点

 メトホルミンを服用して直後の数日間で、異様な脱力感や食欲不振を自覚することが多いです。しかし、それだけでなく2,3週間経ってからも悪心嘔吐や下痢、脱力感などが起こることがあります。そういう場合、異様な脱力感などの重篤な症状がおこれば、すぐに服薬を自分で判断して中止してよいです、と当院では、そう指導しています。『すぐに服薬を自分で判断して中止してよい』という医師の言葉は極めて重要な意味を持ちます。患者さん自身の判断に委ねますという指導だからです。めったに、こういう薬はありません。通常は「私の指導通り服薬してください」というのが普通ですから、めずらしいと感じる患者さんもおられます。その意味で、メトホルミンは特殊な薬です。
 あくまで私(鈴木吉彦医師)の経験ですが、実際そうした指導を受けないまま、脱力感や食欲低下などが起こっていても、それを我慢しながら服薬していた患者がいます。そういう人こそ血液中に 乳酸が増え過ぎて、「乳酸アシドーシス」の症状になりやすいです。
乳酸アシドーシスは食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛といった初期症状が始まり、進行すると過呼吸、脱水、低血圧、低体温、昏睡などの症状を引き起こすこともあり危険です。 たまたま他の医師にかかりつけの患者が、そうした症状を我慢したまま私の外来を受診する時があります。そのような場合にはすぐに中止してもらいます。
また、75歳以上の高齢者や心臓や腎臓に重度の合併症がある患者さんには、メトホルミンはあまり薦められません。また、外科的な手術をする時や食中毒や風邪で下痢をしている時、あるいは発熱で脱水症状がある場合は一旦中止してください。

 

  • ※ 特に造影剤を使う時には注意が必要です。

 

 造影剤を使う検査を受ける場合は、検査を受ける3,4日以前に中止し、検査がおわった後も、その3、4日後から再服用してください。1週間くらい薬の服用をやめても、血糖コントロールに与える影響は少ないです。検査を優先させてくだい。
 一般的に造影剤を使う検査は循環器の外来を受診している患者さんです。従って私(鈴木吉彦医師)の場合には、循環器外来を受診し、今後、造影検査を受ける必要があるかどうかなど、できるかぎり確認するようにしています。しかしそういう検査(心臓カテーテル検査など)は緊急を要することが多いので、患者さん自身が自覚していないと、意外と見落とされやすく注意が必要です


特徴:DPP4阻害剤との相性がよい点です。

 興味深いことは、DPP-4阻害剤とメトホルミン、この2つの薬剤においては相乗作用もあります。DPP4阻害剤とメトホルミンの併用では、GLP-1の濃度を相乗的に増加させます。ですから私(鈴木吉彦医師)の外来では、DPP4阻害剤で血糖コントロールが改善しづらい場合に、メトホルミンを追加し、副作用がなければ、商品名:メトグルコを1日9錠まで増量してみます。9錠が難しい場合には6錠に減らします。それで、食欲が低下したという患者は食事療法も守りやすくなり、血糖コントロールが安定してきます。このように、メトホルミンは、食欲低下作用を利用し、肥満があり過食傾向が抜けない患者の、シチューエーションに応じた、特殊な治療手段として処方します。

 

食直前の内服のほうが、効果を発揮しやすい薬剤です。

 肝臓からの糖新生(肝臓から、ブドウ糖を放出される機序)を抑制することで、食後の高血糖を、より効率的に抑制することが期待できます。これまで、メトホルミンは、食後内服が普通でした。それは、食前内服だと、悪心などで、食事を食べられないことが多かったためです。その時に、SU剤などを服用していると、低血糖を起こすことが増えてしまうからです。

 ところが、DPP4阻害剤やSGLT2阻害剤の登場で、事態は大きく変貌しました。低血糖を起こさない内服治療が主流になってきたのです。SU剤の処方は、極端に減っています。ですから、SU剤による低血糖を心配して、メトホルミンを食前に内服していけない理由が、どんどん減ってきたのです。

 このため、当院では、最近になり、低血糖の心配が少ない患者さんには、メトホルミンの食前内服をお勧めするようになってきました。

 

食直前の内服で、食後高血糖を抑制する方法。

 メトホルミンが食直前に内服できることで、αグルコシダーゼ阻害剤のセイブルや、グリニド製剤のグルファストなども、一緒に、食直前に内服できるようになりました。SGLT2阻害剤は、一般に、αグルコシダーゼ阻害剤やグリニド製剤との相性がよく、優れた相乗効果を認めることが多いのですが、それは、SGLT2阻害剤で空腹時血糖値をさげ、αグルコシダーゼ阻害剤やグリニド製剤で食後高血糖を抑えるという役割分担が、明確に分担化され、相乗効果をあげやすいことのあらわれではないか、と、鈴木医師は、考えております。このため、当院では、SGLT2阻害剤、DPP4阻害剤、GLP1受容体作動薬(ビデュリオンなど)で、空腹時血糖値がさがり、抑えられている場合に、それでも、HbA1cが、まだ高いという場合には、積極的に食後高血糖を抑制するため、αグルコシダーゼ阻害剤(主にセイブル)、グリニド製剤(主にグルファスト)、そして、食前内服のメトホルミンを、お勧めすることが増えました。